アップル、iPhoneとサービスで売上高12%増 年末商戦期は利益率低下を予想
2026会計年度第4四半期の売上高は1,145億ドル。メモリー価格の上昇とSiri AIの展開費用が利益率を圧迫すると見込む。

アップルは、ジョン・ターナス最高経営責任者(CEO)の下で初となる決算を発表し、iPhone、Mac、デジタルサービスがけん引する増収で会計年度を締めくくった。9月26日までの四半期の売上高は前年同期比12%増の1,145億ドルで、ウォール街の予想を上回った。
AP通信によると、純利益は307億1,000万ドルとなり、前年同期の274億7,000万ドルから増えた。希薄化後1株利益は14%増の2.10ドルだった。同社は、この利益に関税還付による1株当たり5セントの押し上げ効果が含まれると説明した。
売上高はアナリストの予想を超えたものの、アップルは、メモリー価格の上昇とSiri AIの展開に伴う費用が、12月に終わる四半期の売上総利益率を圧迫すると警告した。会社側が業績見通しを説明する中、株価は時間外取引で下落した。
今回の決算は、ターナス氏が9月にCEOに就任して以降、初めての財務状況を示すものとなる。同氏はティム・クック氏の後を継いだ。人工知能(AI)への新たな投資が進む一方、端末やデータセンターに使う部品のコストが上昇圧力を受ける時期の交代だった。
iPhoneとサービスが成長を支える
アップルが投資家向けに説明したところによると、iPhoneの売上高は17%増の576億ドルだった。9月に終わる四半期として過去最高となり、四半期全体の売上高のおよそ半分を占めた。
同社は堅調な需要が増収を支えたとし、米国と中華圏の双方で2桁成長を達成したと説明した。対象期間には9月の新型端末の発売直後の一部が含まれるが、それらのモデルの販売シーズン全体を反映したものではない。
Macの売上高は24%増の108億ドルだった。同社は、ノートパソコンの需要が増収要因の一つになったとした。一方、携帯電話とパソコンのいずれも、期間中に供給面の制約があったと説明した。
サブスクリプション、ストレージ、決済などのデジタル事業を含むサービス部門の売上高は、10%増の316億ドルで、四半期として過去最高を記録した。この部門は、携帯電話やパソコンを最初に販売した後も、端末利用者から継続して収益を得る役割を担う。
すべての製品群が成長したわけではない。iPadの売上高は10%減の62億ドル、ウェアラブル・ホーム・アクセサリー部門は8%減の83億ドルだった。同社は、iPadの供給制約や、前年の製品発売との比較による影響に言及した。
売上高は増加、利益率には圧力
2026会計年度全体の売上高は約4,790億ドルとなり、年間の過去最高を更新した。9月に終わる今回の四半期は、9月26日に終了した同会計年度の第4四半期に当たる。暦年の10~12月期を指すものではない。
関税還付も業績を押し上げた。会社側の試算では、四半期の売上総利益率を約1ポイント引き上げ、1株利益に5セントを上乗せした。公表された売上総利益率は47.9%だった。
売上総利益率は、製品やサービスの直接原価を差し引いた後、ほかの経費を計上する前の段階で、売上高のどれだけが残るかを示す。売上高が増えても、販売額に対して同じ割合の利益を確保できるとは限らないため、投資家が注目する指標となる。
AP通信によると、アップルは12月に終わる四半期の売上総利益率を45~46%と予想している。メモリーコストの上昇とSiri AI関連の費用が背景にあるという。これは実績ではなく見通しであり、年末は例年、端末販売にとって重要な時期となる。
AP通信によると、ファクトセットが集計したアナリストの予想平均は、9月に終わる四半期の売上高が約1,134億ドル、1株利益が1.99ドルだった。アップルは双方を上回ったが、市場の反応には次の四半期や費用の見通しも影響した。
ターナス体制への移行とAIの課題
ターナス氏は、ハードウエアエンジニアリング部門の責任者から経営トップに就いた。初の決算発表を迎える中、携帯電話、パソコン、サービスにAIを組み込む競争は激しくなり、大手テクノロジー企業はインフラやモデルに巨額を投じている。
発表でターナス氏はSiri AIの展開を強調し、10月には試験版の対象言語をスペイン語や日本語などに拡大したと説明した。同社は、稼働中の端末の総数が25億台を超えたとも明らかにした。
今後数カ月は、メモリーの調達状況も業績を左右する要因となる。部品の価格が上がったり、十分な数量を確保できなかったりすれば、需要があっても費用の増加や一部機種の供給制限につながり得る。同社は今回の決算でも、一部製品群に供給制約があったと説明している。
アップルは、1株当たり0.27ドルの四半期配当も発表した。11月12日の取引終了時点の株主に対し、11月16日に支払う。こうした株主還元に加え、同社によると、四半期の営業キャッシュフローは約280億ドルだった。
新型端末への需要とサービス事業の拡大が、費用の上昇を補えるかどうかは、今後の決算で明らかになる。現時点の年度末決算は、過去最高の売上高と、年末商戦期の利益率縮小への警告が並ぶ内容となった。