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金正恩氏、丹東の新しい橋で中国訪問 王滬寧氏と協力拡大を協議

北朝鮮の金正恩氏は王滬寧氏と会談し、朝鮮戦争に参加した中国兵を追悼した。中国側は開通したばかりの橋を人的往来と貿易の拡大につなげたい考えを示した。

丹東の新しい橋を通って中国に入る金正恩氏
金正恩氏が丹東の新しい橋を渡り、中国に入る。 © 写真:Rao Aimin/新華社

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏は24日、中国東北部の丹東を短時間訪れ、鴨緑江を挟んで向かい合う新義州へ戻った。帰路に使ったのは今月開通した新しい橋だ。中国政府はこの橋を、人の往来や物流を増やす経路として位置づけている。金氏は訪問中、中国共産党指導部の王滬寧氏と会談し、朝鮮戦争で戦った中国兵を追悼したほか、自動車工場を視察した。

今回の日程には、戦争の記憶をたどる式典と、経済協力をめぐる意見交換の両面があった。中国国営新華社通信によると、王氏は習近平国家主席のあいさつを伝え、橋の開通を人的交流と協力拡大の機会にしたいと述べた。ただし、新たな貿易協定や事業の日程、橋を通る交通量は発表されていない。両政府が協力への意欲を示したことと、経済的な成果が生じたことは分けて考える必要がある。

長く待たれた国境の道路橋

丹東は中国と北朝鮮を結ぶ主要な玄関口の一つだ。対岸には北朝鮮の国境都市、新義州がある。新たな道路橋は両都市をつなぎ、従来の経路に加わる。開通まで長い時間を要した施設を金氏自身が渡ったことには、象徴的な意味だけでなく実務的な意味もある。今後どれだけ活用されるかは、両岸の通行規則や施設の運営によって決まる。

中国側は橋が人の移動と貿易に役立つと説明する。しかし開通だけで往来が急増するとは限らず、国際的な制限が解除されたわけでもない。北朝鮮には核・ミサイル開発を理由とする制裁が引き続き課され、経済交流に条件がある。橋という物理的な通路ができることと、個々の商取引が認められることは別の問題だ。

新華社通信の発表によれば、金氏はこの訪問で習氏本人とは会っていない。会談相手の王氏は中国人民政治協商会議全国委員会主席で、中国共産党中央政治局常務委員でもある。習氏からのあいさつは中国側が訪問を重く見ていることを示す一方、丹東で両首脳による新たな会談が開かれたことを意味しない。

北朝鮮の国営メディアを引用した韓国の報道によると、金氏には政府と党の高官が同行した。訪問は日帰りだったという。新華社通信は、王氏が金氏を橋まで見送ったと伝えた。公表された事実から、指導部間の重要な接触だったとは言える。ただ、非公開の会談内容や発表されていない約束を推測することはできない。

朝鮮戦争の記憶と外交

一行はまず、1950~53年の朝鮮戦争に参加した中国兵を記念する施設を訪れた。金氏と王氏は献花し、展示を見学した。訪問は、中国人民志願軍が戦争に加わった記念日に近い時期に行われた。両政府は当時の協力を現在の関係の原点として語っている。

戦争の記憶が持つ意味は国によって異なるが、両氏はそれを関係の継続を訴える場に用いた。王氏は政治的な信頼と協力の深化を語り、金氏は中国の支援に謝意を示した。これらは当局者の表明であり、二国間関係の実態を独立に測った結果ではない。外交上の重みは、今後どのような決定が伴うかで明らかになる。

午後には丹東の自動車工場を視察した。新華社通信は、そこで契約が結ばれたとは伝えていない。橋と工場の視察は、歴史的な式典に経済の要素を加えた。中国は北朝鮮にとって重要な相手であり、平壌は軍事的緊張や制裁が続くなかでも北京との関係を保てることを示した形だ。

今回の訪問に先立ち、韓国政府は南北の境界付近での偶発的な衝突を防ぐため、北朝鮮に軍事協議を提案していた。金氏の中国訪問がその提案への正式な回答だという発表はない。それでも、朝鮮半島をめぐる外交で中国の位置づけが改めて注目される。経済や政治面の協力がどこまで広がるかは、周辺国にとっても関心事だ。

次に確かめるべきこと

新しい橋は関係強化を目に見える形で示す。ただし、変化の規模はまだ定まっていない。今後、許可された通行が増えるのか、どのような物資が行き来するのか、制裁を踏まえた具体的な取り決めが発表されるのかが判断材料になる。橋の開通を北朝鮮の安全保障政策の転換と同一視することもできない。そのような変更は公表されていない。

金氏は橋を渡り、中国指導部の要人と会って帰国した。今回の訪問は鮮明な外交上の場面を残したが、新たな条約や関係の全面的な転換が確認されたわけではない。北京と平壌は協力拡大を語っている。その実際の意味は、橋を渡った光景よりも、この後の政策と往来によって測られる。