スペインの列車衝突事故、21世紀の重大7事例 チンチージャからウルダまで
21世紀のスペインで起きた列車同士の衝突7件を振り返る。死傷者数、判明した原因、アダムスとウルダで続く調査を整理した。

スペイン中部トレド県ウルダ付近で28日、レンフェの高速列車AVEが停車中のイリョの列車に追突した。スペイン現地時間午後3時前に公表された暫定集計では少なくとも64人が死亡し、今世紀の同国で特に深刻な列車衝突事故の一つとなった。過去の事故では、チンチージャで誤った発車許可、カステルガリで運行管理上の不備、ビラセカで貨物機関車の制動力不足が確認されている。ウルダの追突原因は調査中だ。
2026年に高速鉄道で多数の死者を出したアダムスとウルダでは、調査が続いている。これまでに公表された結果から事故の経過の一部は分かるものの、原因や責任の全容はまだ確定していない。
2003年チンチージャ――単線で正面衝突、19人死亡
2003年6月3日夜、アルバセテ県チンチージャ・デ・モンテアラゴン駅の近くで、ムルシア方面へ向かうタルゴの旅客列車と、反対方向に走る貨物列車が正面衝突した。2006年の判決に記載された被害は死者19人、負傷者48人。長年にわたり、21世紀のスペインで最も多くの死者を出した列車同士の衝突事故だった。
裁判所は駅長に禁錮2年の判決を言い渡した。貨物列車が同じ線路を走っていたにもかかわらず、タルゴに発車を指示し、信号を青にしたと認定した。判決は被害者への賠償を含む刑事・民事上の責任を示した。単線区間で相反する進行許可が出れば、向かい合った列車には衝突を避ける余地がほとんどなくなる。
2019年カステルガリ――対向列車がいる線路へ進入
2019年2月8日、バルセロナ県カステルガリで近郊列車と地域間列車が正面衝突した。一方の運転士が死亡し、108人が負傷。そのうち19人は重傷だった。スペインの鉄道事故調査委員会(CIAF)は、マンレサ駅で設定された進路と、その後の運行管理を調べた。
最終報告書は、一方の列車が、別の列車が走行中の区間へ通常とは逆の方向から進入したと結論づけた。出発進路の設定に誤りがあり、異常な走行を確認する手順も衝突までに機能しなかったとする。事故は一つの操作だけでなく、複数の防護策が破られた結果だった。委員会は、列車同士が衝突する進路を与えないための手順や安全対策の強化を勧告した。
2022年の3件――サン・ボイ、ビラセカ、モンカダ
5月16日、バルセロナ県サン・ボイ・デ・リョブレガートでは、貨物列車の車両が脱線し、カタルーニャ州営鉄道(FGC)の旅客列車の進路に入り込んだ。旅客列車の運転室に衝突し、運転士1人が死亡、86人が負傷した。FGCの内部調査によると、貨物列車は一時的に時速30キロに制限された区間を時速43.5キロで走っていた。この調査結果は事故の経過を理解する手がかりになるが、すべての法的責任を確定した判決ではない。
1か月足らず後の6月12日には、タラゴナ県ビラセカ付近で貨物機関車と地域間旅客列車が正面衝突した。死者はいなかった。CIAFの最終報告書は負傷者29人、うち重傷6人を記録している。当時の政府の緊急情報によれば、22人が医療機関に搬送された。委員会は、車輪の再加工後にブレーキ装置の調整が適切に行われず、貨物機関車の制動力が不足したことを原因とした。線路は一時閉鎖され、多数の列車が遅延または運休した。
12月7日には、バルセロナ県のモンカダ・イ・レイシャク=マンレサ駅で、近郊鉄道R4線の列車が停車中の別の列車に後方から衝突した。救急医療当局によると、負傷者は155人。150人が軽傷、5人が中等症と判定された。死者は出ていない。R4、R7、R12の各線に一時影響が及んだ。追突の経過は確認されているが、参照できる資料には、技術的な原因を最終的に特定した結論は示されていない。
2026年アダムス――脱線の後、対向列車と衝突
2026年1月18日、マドリード方面に向かっていたイリョの高速列車の後部車両が、コルドバ県アダムス付近で脱線した。車両は対向するレンフェのアルビアが走る線路に入り、両列車の衝突によって46人が死亡した。
技術調査では、事故前に生じたレールの破断が焦点となっている。スペインの治安警察に当たるグアルディア・シビルは破断を事故前日に位置づけ、CIAFの分析も脱線との関連を強めた。ただし委員会は、途中段階の調査結果を最終報告書と同一視しないよう注意を促している。事故の詳しい経過と再発防止策の確定には最終結論を待つ必要がある。事故後には被害者への支援が承認され、鉄道の運行は数週間にわたって影響を受けた。
2026年ウルダ――死者数は暫定的
2026年10月28日、スペイン現地時間午前8時54分、トレド県ウルダ付近でレンフェの高速列車AVEが停車中のイリョの列車に追突した。カスティーリャ・ラマンチャ州政府は緊急対応計画を発動し、マドリードとアンダルシアを結ぶ高速鉄道は運行を停止した。州首相エミリアノ・ガルシア=パヘは、スペイン本土時間午後3時前に公表した暫定集計で、死者が少なくとも64人に上ると発表した。負傷者も数十人に達する。救助と身元確認が続いており、数字は確定していない。
追突の原因も、この時点では特定されていない。一方の列車が停車し、もう一方が後方から衝突したという事実だけでは、両列車を安全に隔てる仕組みがなぜ機能しなかったのかは分からない。責任を判断するには、信号、運行記録、関係者の通信を調べ、事故までの経過を再現する必要がある。
事故の被害規模と原因は、同じ速さでは明らかにならない。救助当局は数時間で死傷者数を報告できる場合がある一方、技術的な経過の解明には記録の分析や鑑定が必要で、数か月かかることもある。再発防止のために問われるのは、それぞれの事故で何が機能せず、どうすれば同じ失敗を防げるかだ。