米イラン、ホルムズ海峡めぐり間接接触を再開 合意はなお遠く
イランはバンス米副大統領の書簡を前向きに評価し、海峡の部分再開案の実施期間を2日間に短縮する考えを示した。米当局者との直接会談は予定していない。

イランと米国は、カタールなどの仲介を通じて接触を続けている。新たな軍事衝突を避け、ホルムズ海峡の航行をめぐる対立を解くためだ。イランのアラグチ外相は、同国の代表団が協議のためカタールの首都ドーハを訪れたことを明らかにし、バンス米副大統領からの書簡を前向きな一歩と評価した。ただし、両国の直接交渉や合意が決まったわけではない。イラン側は米政府当局者と会う予定はなく、自国の条件が満たされなければ協議は進まないとしている。
具体的な変化として示されたのは、ホルムズ海峡を部分的に再開するイラン案の実施日程だ。アラグチ氏はアルジャジーラの取材に対し、カタールの仲介者との協議を経て、当初7日間としていた実施までの期間を2日間に短縮する案になったと述べた。米国が受け入れたとも、船舶の通航がすでに制限なく再開したとも発表していない。同海峡は石油や天然ガスの国際輸送に欠かせない航路で、限定的な変化でも中東以外に影響が及ぶ。
書簡は検討、米国との会談予定はなし
10月31日に公開されたインタビューで、アラグチ氏はイラン政府高官がバンス氏の書簡を検討したと説明した。米側が対話を広げようとする姿勢は評価しつつ、両国代表の会談が間近に迫っているとの見方は否定した。カタールとパキスタンが引き続き双方の提案を伝えているという。将来の協議が直接形式になるか間接形式になるかは、米国がイランの条件にどう応じるかで決まるとした。
書簡の全文は公表されていない。トランプ米大統領は接触を認めた一方、医薬品の供給や人道支援に関するものだと説明した。戦争をめぐる交渉再開の試みと位置づける報道もある。文面が確認できない以上、両政府が正式な和平交渉を約束したと断定することはできない。
イラン代表団のドーハ訪問に先立ち、カタールの仲介者はテヘランで協議していた。連絡経路が維持されていることは分かるが、主要な争点が解決したことを意味しない。書簡の宛先となったイラン最高国家安全保障評議会のレザイ事務局長は国営テレビで、まだ返答していないと述べた。米国の姿勢に変化を感じる一方、米側が公開していない文面の詳細は明かさなかったと、中東紙ザ・ナショナルが伝えた。
海峡の航行、制裁、核問題
イランは、イスラマバードで署名された覚書の後に課された制裁の解除、地域に展開する米軍の縮小、イラン産原油の輸出を認める措置の復活を求めている。カタールにある資金を含む凍結資産の解放や、オマーンと協議したとする海上航路の承認も要求する。アラグチ氏が示したのは今後の進展に向けた条件であり、米国がすでに譲歩した内容ではない。
米国側はイランの核開発計画とホルムズ海峡の航行について確約を求めている。仲介国は核問題に関する案も提示しており、イラン側は検討中だという。両者の優先事項にはなお隔たりがある。2日間という新たな日程は、手順をめぐる柔軟性を示す可能性があるものの、合意ではない。海峡の安定的な再開には、双方が何をどの順番で実行し、どう確認するかを決める必要がある。
2月の米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった紛争は、同海峡の船舶交通を乱してきた。アルジャジーラとザ・ナショナルによると、イランは船舶への攻撃や機雷の敷設を行い、米国はイランの港に対する制限を続けている。航路をめぐる発表は、輸出国や海運会社、輸入エネルギーに依存する国々に関わる。だが今回のイラン案だけで、通常の通航が戻ったとは言えない。
外交接触と並行する軍事的警告
接触が明らかになった週末、双方は軍事行動の可能性にも言及した。アラグチ氏は、イランはさまざまな事態に備えており、再び攻撃を受ければ応じると警告した。トランプ氏はフロリダ州で記者団に協議は順調だと述べる一方、米国にはなお攻撃可能なイランの標的があるとの考えを示した。いずれも将来の行動に関する発言であり、新たな攻撃が実施されたとの発表ではない。
ザ・ナショナルによると、ルビオ米国務長官は31日、トランプ氏は攻撃再開を決めておらず、外交による解決に応じる用意があると語った。カタール主導の協議に期限は示さなかった。仲介を通じた接触と軍事的な警告が同時に続くなか、連絡があることと政策が確定したことは分けて見る必要がある。
共同通信は今回の動きを間接対話の再開と伝える一方、両国の立場には依然大きな隔たりがあると指摘した。次の焦点は、バンス氏の書簡への正式な返答、ホルムズ海峡をめぐる条件の受け入れ可否、そして形式を定めた協議が実際に設定されるかどうかだ。カタールを介した外交の道は残っているが、航行制限や再び戦闘が激しくなる恐れは解消していない。