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NVIDIA、欧州向けにモジュール型AIデータセンターを提案 電力確保とデータ管理が課題

ベルリンのGTCで、事前に組み立てるインフラ設計を発表し、欧州企業との提携も広げた。ドイツは産業でのAI活用を進めるが、導入に要する期間は各拠点の電力、冷却設備、通信網の準備状況に左右される。

ドイツの産業施設に置かれたモジュール型AIデータセンターを表現したイメージ画像
NVIDIAが欧州向けに提案するモジュール型AIデータセンター。 AI生成の参考画像

NVIDIAはベルリンで、欧州におけるAIデータセンターの設置を早めるための構想を発表した。設備をモジュールとして事前に組み立て、試験を済ませてから現地へ運ぶ。「DSX POD」と呼ぶこの設計は、21日水曜日に開かれた同社のGTCでの発表の一つで、世界での最初の納入は2027年初めを見込む。課題は半導体の確保だけではない。それを稼働させる電力、冷却設備、通信網をどう用意するかにある。

発表の背景には、ドイツが工場にAIを取り入れ、産業データを活用しようとする動きがある。ドイツ政府とNVIDIAは、機械や製造工程など現実の環境を扱うAIモデルの開発に向け、協力の意向を表明した。欧州が技術基盤を強めようとする一方、提案された設備の多くを米国企業に頼る構図も残る。

事前に組み立てるデータセンターで何が変わるか

DSX PODの設計に基づく設備は、Dell Technologies、HPE、Lenovo、Schneider Electric、Vertivなどのパートナーが製造する。Vera Rubinの機器をモジュールにまとめ、出荷前に組み立てと試験を行う。

NVIDIAは、設置期間を6カ月から14日に短縮できるとしている。ただし、現地に電力、冷却設備、通信網がすでに整っていることが前提だ。データセンターを更地から14日で建設するという意味ではない。作業と点検を工場側で済ませる効果は、最初の施設が稼働してから確かめる必要がある。

電力も計算基盤の一部に

施設の電力使用量が上限に近ければ、プロセッサーを増やしても、実際に使える計算能力がその分だけ高まるわけではない。NVIDIAは機器の消費電力、冷却、送電網の状態を別々に考えるのではなく、連携させる方針を示す。DSXプラットフォームには、建設前のシミュレーションと稼働時の管理ツールが含まれる。

同社によれば、建設前に施設の動きを予測するため、エネルギー企業とも協力している。Hitachi Energyは蓄電池による電力貯蔵、Schneider Electricは電力供給と冷却の設計、Siemens Energyは発電、送電、配電とデータセンターの需要を結ぶ仕組みに取り組む。

こうした技術は施設をより効率よく使うことを目指す。ただ、それ自体が新たな電源を生み出すわけでも、送電網への接続に代わるわけでもない。AIの設備を増やすには、サーバー室の外にも投資が要る。情報技術企業と電力事業者が共に向き合う課題である。

ドイツは工場のデータを生かせるか

ドイツ政府の発表は、NVIDIAとの協力を自国のAI戦略と「Industrie 4.0」の枠組みに位置づける。そこには企業、研究者、業界団体、行政の関係者が参加する。ドイツの企業や研究機関とともに、産業でのAI利用を広げることが表明された目標だ。

「フィジカルAI」とは、文章や画像を作るだけでなく、現実の環境を認識し、そこで動作するシステムを指す。製造業、自動車産業、工学が厚いドイツにとって、大量の情報を生む既存の作業や工程にAIを適用できるかが焦点となる。

フリードリヒ・メルツ首相との協議で、NVIDIAはドイツの中小製造業に重点を置いた。同社はAgile Robots、Avelios Medical、Mirelo、Reflex Aerospaceなどへの投資計画も発表した。ロボット、病院向けシステム、映像・音響制作、宇宙という異なる分野で、AIの具体的な用途を探る動きだ。

政府の発表は協力の意思を示した段階にある。ドイツ産業全体ですでに生産性が上がった、あるいは経済的な利益が生まれたと判断する根拠にはならない。

欧州での計算能力拡大と、運用を誰が握るかという問題

NVIDIAは、クラウド事業のパートナーが、顧客に近い場所でAIモデルを訓練・実行するための能力を増やすことも発表した。NscaleはVera Rubinの設備を導入し、欧州の五つの市場へ事業を広げる計画だ。Crusoeは、サービスを利用者に近づけるため、液体冷却を使うモジュール型施設を開発している。

技術的な主導権を確保するうえでは、データをどこに置き、アプリケーションをどこで動かすかを選べることが重要になる。欧州域内に計算能力を置けば、企業や機関の選択肢は増え得る。しかし、施設の所在地だけでは、誰が運用し、どの供給企業が関わり、契約上どのようなアクセスが認められるかは決まらない。

提案には手元の端末での計算も含まれる。オーストリアの公共放送ORFは、すべての処理を外部のデータセンターに頼らず、デスクトップでAIの作業を実行する「RTX Spark」機器の発表を伝えた。共有施設とは用途が異なり、すべてのAI利用に同じ規模のインフラが必要なわけではない。

ORFは会議でジェンスン・フアン氏が欧州の可能性を強調したことも伝えた。ベルリンの放送局rbbは、ドイツの技術面での遅れや官僚的な障壁に対する同氏の批判を報じた。投資を促す呼びかけと、計画を実行に移す難しさへの警告が並ぶ。

2027年に予定される最初の納入は、構想を実際の稼働へ移せるかを測る機会になる。欧州の産業にとっては、新しい設備に必要な電力、人材、役立つ用途を確保し、長年蓄積したデータを仕事の検証可能な改善につなげられるかが問われる。