Razón y Saber
EspañolEnglish日本語

アンソロピック、株式の5%を公益目的の基金へ AIの社会的影響に対応

Claudeを開発するアンソロピックが、自社の事業体を通じた助成や個人への直接支援の可能性を打ち出した。実施には株主の承認が必要で、AIが雇用に及ぼす影響への懸念が背景にある。

アンソロピック、株式の5%を新たな公益目的の基金に拠出へ
AIと公益目的の基金について議論するアンソロピック

アンソロピックは、自社の成長の一部を、人工知能(AI)がもたらし得る社会的負担への対応に振り向けようとしている。Claudeを開発する同社は10月18日日曜日、株式の5%を新たな公益目的の基金に割り当てる構想を発表した。団体への助成や、特定の人々への直接的な分配を検討できる仕組みで、実施には株主の承認が必要となる。

この発表は、AIを巡る議論の中心にある問いを投げかける。仕事を大きく変え得る技術が生む富を、どう分かち合うのか。同社は、技術の進歩が大きな経済的価値を生む一方、多くの働き手に不安定さをもたらす可能性を認めている。ただし、支援対象者や支給額、実施時期を定めた具体的な計画はまだ示していない。

Anthropic Public Benefit Fundは、同社グループ内の事業体となる。企業価値の上昇に伴い保有株式を増やす余地があるが、自動的に増えるわけではない。追加の株式割り当ては取締役会の裁量に委ねられる。

AP通信とNORCによる10月8日公表の世論調査は、AIへの不安の一端を示す。米国の成人の64%が、AIの進歩は速すぎると答えた。9月24〜28日に成人2140人を対象に実施した調査であり、技術への意見を尋ねたもので、失われる雇用数の推計ではない。

企業価値の上昇に応じて株式を追加できる仕組み

発表された設計では、一定の基準に対してアンソロピックの企業価値が50%上昇するごとに、取締役会は株式をさらに2%基金に追加できる。同社は今後、その基準と、追加拠出の条件となる評価額の節目を詳しく示す必要がある。

約束の規模を理解するうえで、株式の保有と現金の給付は区別しなければならない。5%という数字が示すのは株式であり、売上高や利益の5%を既に働き手に配っているという意味ではない。経済的な価値は同社の状況と、基金の資産をどう活用可能な資金に変えるかに左右される。

ロイター通信は、アンソロピックが株式公開を準備し、自社システムの安全性や社会的影響への問いに一層向き合う時期の取り組みと位置づけている。発表は株式による拠出を約束するものだが、個々の活動に最終的にいくら届き、どのような成果が出るかは、まだ測れない。

雇用には既に別の研究プログラム

雇用は基金の使途として想定される分野の一つであり、唯一の目的ではない。同社は既にEconomic Futures Research Fundに2億ドルを拠出すると約束し、7月に研究課題を公表した。このプログラムは、AIに伴う経済変化に働き手、企業、政府が備えられるよう、外部研究や支援策の試行に資金を出すことを目指す。

重点分野には、職場へのAI導入、研修や転職・職種転換の改善、失業者への支援の見直しがある。将来、大きな混乱が生じる前に、働き手が利益を分かち合う方法も研究する方針だ。

研究計画には、実験やプログラム評価も盛り込まれた。従来は仕事を覚える入り口だった作業をAIが担うようになった場合の、職業学習の取り組みも対象となる。いずれも研究上の問いであり、計画に含まれているからといって、実証済みの解決策が存在したり、すべての職業が同じように変化したりすることを示すわけではない。

株式を活用する新基金は、アンソロピックが用意しておきたい選択肢を広げる。同社は研究だけより柔軟な手段と位置づけ、大規模な助成や特定の人々を対象とする支援に使えるとしている。ただし、その対象はまだ決まっていない。

約束されたことと、説明が残ること

基金は、アンソロピックが全額出資する有限責任会社(LLC)として設立される。同社は、米国で一般的な慈善団体ではなく、複数の支援方法を組み合わせられるこの形態を選んだ。

同社によると、基金の株式を米国内外のロビー活動や政治献金に用いることはない。これは発表された設計の一部であり、約束が守られるか、活動がどのような成果を上げるかは、規則が明らかになり活動が始まった段階で検証する必要がある。

同社は今後数カ月以内に、組織構造や運営体制について追加情報を示すと約束している。配分をどう決めるのか、約束した資源をどう検証可能な利益につなげるのかなどは未解決だ。事業上の研究、社会的な取り組み、経営陣の判断が、必ずしも同じ目的に向かうとは限らない。

別の約束も呼び起こした発表

発表にはイーロン・マスク氏がすぐに反応した。AP通信によると、同氏は株式を国民に直接渡すべきだと主張し、来年、米国のすべての未成年者にスペースX株を1株ずつ贈ると約束した。実施方法の詳細は説明していない。アンソロピックの基金とは別の提案であり、既に分配が行われたわけでもない。

アンソロピックの創業者らは、自らが保有する株式の80%を寄付すると約束していた。同社には、従業員の株式寄付に会社が同額分を上乗せする制度もあり、社員のおよそ半数が参加している。AP通信によると、新たな構想とこれらの取り組みを合わせれば、株式の約20%が公益目的に充てられることになる。この比率は約束全体を合わせたもので、新基金だけの割り当てではない。

次の課題は、発表を規則と行動に移すことだ。株式の拠出によって、企業の成功と社会支援の財源を結びつけることはできる。ただし、実際の効果は、承認、基金の運営、利用できる資源、支援先という、これからの判断にかかっている。