英国のインフレ率が3.5%に上昇 燃料高で金利判断は一段と難しく
9月の物価上昇率は加速し、イングランド銀行の目標からさらに遠ざかった。燃料の値上がりに加え、サービス価格の上昇圧力も強まっている。次回の金融政策判断はまだ下されていない。

英国の9月の消費者物価上昇率は前年同月比3.5%となり、8月の3.1%から加速した。英国の国家統計局(ONS)が10月21日水曜日に発表した。2025年10月以来の高水準で、今回も燃料価格が主な押し上げ要因となった。家計の負担軽減が難しくなるとともに、中央銀行であるイングランド銀行の政策判断も複雑になっている。
上昇率は、ロイターがまとめたエコノミスト予想の中央値3.4%を上回った。重要なのは0.1ポイントの差そのものよりも、インフレの方向だ。金融政策当局が上昇率を2%に戻そうとする中で、再び加速している。11月の利上げは今後の可能性であり、すでに決まったわけではない。
給油の負担から広がる物価高
ONSによると、ガソリン価格は8月から9月にかけて1リットル当たり8.2ペンス、軽油は10.7ペンス上昇した。前年の同じ期間には、どちらも小幅に下落していた。この前年との違いが、年間の物価上昇率に大きく影響している。
ただし、値上がりの広がり方は一様ではない。食品・非アルコール飲料の価格上昇率は前年同月比1.3%で、前月比では0.2%下落した。総合指数の上昇は、すべての品目が同じペースで値上がりしていることを意味しない。平均値を読む際には、この違いが重要になる。
消費者物価指数(CPI)全体では、8月に比べて0.4%上昇した。この前月比と前年同月比3.5%は、異なる比較を示している。前者は連続する2カ月を、後者は今年と前年の9月を比べたものだ。混同すれば、年間のインフレ加速を伝える数字が、数週間でそれだけ物価が上がったという誤った説明になってしまう。
エネルギー以外にも上昇圧力
エネルギー、食品、酒類、たばこを除く物価上昇率は2.6%から2.8%に高まった。ロイターは、サービス価格の上昇率も3.4%から3.7%に加速したと伝えている。海外から始まったショックが国内経済のほかの分野にも波及しているかを判断するため、金融政策当局が注視する指標だ。
英下院図書館は、サービス価格は財の価格よりも国内のコストに左右されやすく、インフレも長引きやすいと説明している。このため、原油価格だけでは捉えきれない物価の動きを知る手掛かりになる。ただし、それだけですべての企業がコスト増を顧客に転嫁していると判断することはできない。
ロイターによれば、英国経済は輸入天然ガスへの依存度が高い。こうした経済では、問題の発生源とその後の波及を分けて考える必要がある。エネルギー価格の上昇は国外で始まっても、家計、企業、賃金交渉への影響は国内で広がるためだ。
新たな物価統計を前に分かれていた中央銀行
イングランド銀行の金融政策委員会は9月の会合で、6対3で政策金利を3.75%に据え置いた。反対した3委員は4%への引き上げを求めた。9月17日に公表された決定では、中東での紛争長期化によってインフレのリスクが高まっていると、すでに警戒を示していた。
同行は、エネルギー価格が及ぼす直接的な影響と、物価や賃金に上昇圧力が定着する二次的な影響を区別している。一方、弱い労働市場や引き締まった金融環境が、その圧力を抑える可能性も指摘した。両方の力を見極める判断であり、金利を必ず一方向に動かすべきだというものではない。
次回の政策決定は11月5日に予定されている。今回の統計は判断材料を増やすが、委員会の採決に代わるものではない。また、利上げをしても原油そのものが直接安くなるわけではない。金融政策は、家計や企業がショックに対応する際の資金調達環境や需要に働きかける。
目標に戻っても、価格が元に戻るわけではない
前回のインフレ危機の影響は、今も残っている。英下院図書館によると、その際の物価上昇率は2022年10月の11.1%でピークに達した。現在の上昇率はそれよりはるかに低いが、それまでに積み重なった値上がりが消えるわけではない。インフレ率の低下は価格の上がる速度が落ちることであり、価格が自動的に元の水準へ戻ることではない。
イングランド銀行は、CPIはさまざまな財・サービスを組み合わせた平均的な物価を示し、個々の家庭の実感をそのまま表すものではないと説明している。移動費に収入の多くを充てる家庭では、平均とは違う負担を感じる可能性がある。支出の内訳も、全体の上昇率と同じように重要だ。
2%の目標は、計画、貯蓄、価格設定を安定した環境で行えるようにするためのものだ。再加速によって、その実現は難しくなっている。家計にとっては、支払い後にいくら残るかが目先の問題となる。中央銀行にとっては、エネルギー価格の当初の影響が薄れた後も、どれだけ上昇圧力が残るかが焦点だ。まだ見極めがついていないこの違いが、次の金利判断を左右する。