リサーチレポート

米国で会社をつくるなら、登記州より実際の事業地を先に考える

デラウェア、ワイオミング、テキサス、フロリダを公式情報で比較。登記だけで税務負担が決まらない理由を、二つの事業例から読み解きます。

著者: Redacción Razón y Saber
J Dimas / Wikimedia Commons
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マイアミで働く人がワイオミング州にLLCを設立する手続きは短時間で済むかもしれません。しかし、その登記でフロリダでの事業活動が消えるわけではありません。従業員、事務所、取引先はどこにいるのか。州を選ぶ前に答えるべき問いです。

このレポートは、設立先として宣伝されやすいデラウェア、ワイオミング、テキサス、フロリダの公的資料を、2026年10月3日時点で比較しました。小規模LLCを念頭に置きますが、全国共通の「最安州」を決めるものではありません。在庫を持つ店、自宅のコンサルタント、従業員のいるソフトウェア企業では条件が違います。

登記先と活動地は同じとは限らない

米国中小企業庁によると、複数州で活動する法人は設立州以外でも登録が必要になる場合があります。これを foreign qualification と呼びます。ここでいう foreign は外国ではなく、他州の意味です。両州で手数料、年次報告、税務上の義務が生じる可能性があります。

フロリダで暮らし顧客と仕事をするデザイナーがデラウェアでLLCをつくれば、デラウェア側の義務に加え、フロリダ側の要件も調べる必要があります。これは判断方法を示す例であり、個別事業への結論ではありません。オンライン販売にも注意が必要です。SBAは、物理的または経済的な結び付きによって売上税の徴収義務が生じ得ると説明しています。

四州で比較しているものが違う

デラウェア。 投資家になじみのある法的仕組みが選択理由になることがあります。州法人局によれば、登録されたLLCの年税は400ドルで、前年分を6月1日までに支払います。設立費、登録代理人、他州での活動に伴う負担は別です。

ワイオミング。 州務長官が示す年次報告料は、最低60ドルまたは州内で使用する資産1ドル当たり0.0002ドルのいずれか高い額です。これだけで総費用や他州の税が決まるわけではありません。

テキサス。 州会計検査官は、2026年のフランチャイズ税報告について、年間換算の総収入265万ドル以下なら同税の納付を要しないとしています。該当企業にも公開情報または所有者情報の報告義務が残ります。これは利益の基準でも、すべての税の免除でもありません。

フロリダ。 州歳入局が示す法人所得税の一般税率は5.5%。すべてのLLCにそのまま当てはめることはできません。法人の税務上の分類と活動を確認する必要があります。

年税、報告料、売上高による課税基準、法人所得税率は別の数字です。これらを単純に足して順位を付けることはできません。

LLCの税務上の扱いも確認する

米国歳入庁は、構成員一人のLLC、複数構成員のLLC、法人課税を選んだLLCを区別します。登記州だけでは連邦税務は決まりません。米国外に住む所有者には、一定の条件下でForm 5472などの情報申告が関係する場合もあります。「米国LLCなら申告不要」という販売文句をそのまま信じてはいけません。

二つの事業で判断が変わる

テキサスで暮らし、主に同州で働くコンサルタントなら、まず同州での設立と維持費を、他州で設立して追加登録する費用と比べられます。一方、米国外から経営し、米国内に従業員も事務所もないデジタル事業なら、販売内容、労務の場所、所有者の税務上の地位、各州との結び付きを先に調べるべきです。

検討を始める際は、所有者の居住地、従業員と在庫の場所、販売先、投資家の予定、税務上の分類を書き出します。その上で、設立、代理人、年次報告、許認可、会計、他州登録、連邦申告を同じ条件で見積もります。窓口はSBAの州別登録案内で確認できます。活動の実態を先に描けば、登記州を選ぶ理由も明確になります。最終判断には個別の法務・税務確認が必要です。

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