殺人犯を追う捜査官は、当然、法を守る側にいるはずだ。『Furious』は、その確信を揺さぶる。エリザベス・メリウェザーが手がけたこのドラマでは、FBI捜査官が計画的に人を殺す女性と対峙する。追跡劇が突きつけるのは、制度そのものも人を救えないとき、正義はどこまで届くのかという問いだ。
エミー・ロッサムが演じるのはアリス・ブラック、ローラ・ペティクルーが演じるのはキャサリン。二人を軸にしたこのスリラーは、2026年7月27日に米国のHuluと海外市場のDisney+で配信が始まった。中南米での題名は『Furia』。全8話のシーズン1では、犯罪捜査と個人的な傷、そして犯人を突き止めるだけでは決着しない倫理的な対立が重なる。
このページに掲載したスペイン語字幕付きの公式予告編は、結末を明かさずに二人の対立を描いている。アリスはキャサリンを追う。しかし、二人はそれぞれ自分の考える正義を主張する。相手を捕まえることと、その動機を理解すること。その隔たりが物語の葛藤を深めていく。
捜査する側にも向けられる視線
ディズニーの公式紹介によると、キャサリンを追う過程で浮かび上がるのは、暴力の経験や力関係、被害の救済を得ることの難しさだ。捜査は重要だが、それだけで物語を説明することはできない。登場人物たちの過去は、証拠の読み方、誰の言葉を信じるか、どこまで踏み込むかという判断にも影響する。
性犯罪捜査部門に関わるノラを演じるクインシー・タイラー・バーンスタインは、同じ制度を別の角度から見せる存在だ。主要キャストにはスクート・マクネイリーやジェイク・レイシーも名を連ねる。『The Dropout』『Dying for Sex』で知られるメリウェザーが企画・制作を担い、ロッサムは製作総指揮も務めた。最初の2話はブライアン・カークが監督している。
批評では、1987年の映画『Black Widow』とのつながりも指摘されている。『Furious』は捜査官と殺人犯の対決という構図を受け継ぎながら、動機や暴力が残す影響へと視点を移す。追われる人物だけに闇を集めるのではなく、事件を通して捜査する側にも目を向ける。その展開が作品の魅力になっている。
Rotten Tomatoesの99%が示すもの、示さないもの
10月13日に確認したRotten Tomatoesのシーズン1のページでは、批評家による69件のレビューのうち、99%が好意的な評価と判定されていた。観客評価の指標であるPopcornmeterは、500件を超える評価で88%だった。
二つの数字は、異なる評価を集計している。批評家の指標であるTomatometerは、好意的と判断されたレビューの割合を示す。99%という数字は、10点満点の平均点が9.9点という意味ではない。Popcornmeterは、サイト利用者による好意的な評価の割合だ。どちらも好評を示すが、全員が絶賛しているわけではなく、個々の批評の論点まで説明するものでもない。
同サイトの批評家評の要約では、緊張感とロッサムの演技が評価されている。ただし、その賛辞は指摘された課題と併せて読む必要がある。引き込まれるドラマであっても、視聴者が受け入れにくい展開を含むことはある。
高く評価された演技と、意見が分かれる描き方
英紙ガーディアンのルーシー・マンガンは、登場人物と女性の怒りに支えられた、大人向けのスリラーとして評価した。
TheWrapのボブ・ストラウスは、ロッサム、ペティクルー、バーンスタインの演技を称賛する一方、より難しい問いを投げかけた。殺人犯を過去のトラウマから説明することは、人物に奥行きを与えるのか。それとも、行動の正当化に無理を生むのか。予測できる展開や、優れた俳優陣でも完全には補えない不自然さも指摘している。
この疑問は、作品を単なる復讐の肯定として受け取らないための手がかりになる。人が傷ついた背景を理解することと、その人が下した決断を支持することは別だ。物語が両者を近づけるとき、視聴者は、どこまで理解し、どこからは受け入れられないのかを問われる。
FlixChatterのルース・マラミスは、善人と悪人を安易に分けない物語と、作品全体を支える三人の俳優を評価した。一方で、一部のエピソードにはテンポのむらがあるとも認めている。さらに、バーンスタインのブラックユーモアにも注目した。虐待や処罰されない加害、その影響を描く重い物語に、ひと息つける場面をもたらしている。
全8話のシーズン1、続編も決定
シーズン1は米国のHuluと、配信対象地域のDisney+で視聴できる。ディズニーは8月28日にシーズン2の制作決定を発表したが、その発表では続編の配信開始日は示していない。
『Furious』は、大人向けの題材と人物描写を重視したスリラーを求める視聴者に向く作品だ。手がかりが見つかり、逮捕に至っても、登場人物の葛藤は消えない。批評家の好評は作品に触れるきっかけになる一方、テンポや展開の説得力への指摘は、期待を見定める参考にもなる。捜査官と殺人犯の間に横たわるのは、正義を追い求める行為が、復讐に近づきすぎたとき何が起こるのかという問いである。